小山の二世帯平屋 〜玄関通り土間が家族を継なぐ〜

作品情報
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小山の二世帯平屋 栃木県小山市
  • 設計担当:納谷学

    構造設計:長坂設計校舎 長坂健太郎

    施工会社:イケダ工務店 池田秀範、大貫勇二

  • 既存建物:木造在来工法+鉄骨造

         平屋2棟+二階建1棟

    既存面積:180.09㎡(54.47坪)平屋2棟

    設計計画:平屋2棟のフルリノベーション

    PHOTO :納谷学(現場写真)

     

  • 計画面積:180.09㎡(54.47坪)

    A棟面積:134.55㎡(40.70坪)

    B棟面積: 45.54㎡(13.77坪)

小山の二世帯平屋 栃木県小山市

敷地内には瓦屋根の平屋の母屋を中心に、それぞれの時代に増築された2棟を加えて3棟が繋がっています。

母屋は築80年?、ご両親が住むこの母屋に息子さん夫婦が戻り、隣の一棟と合わせて二世帯住宅にして住み替えることになりました。築年数も定かではないこの母屋の基礎は、束石立ちで床がいたるところでレベルが違い歪んでいます。もともと田んぼだったと思われる地盤で、長い時間の中で瓦屋根の重さで束石ごと沈んだ様です。

今回の計画では、母屋の中心にある8畳の和室一間だけを残して、フルリノベーションすることになりました。

受け継がれた母屋には息子さん世帯、東側に増築した棟にご両親が移り、2棟の平屋の間を二世帯共有の通り土間の玄関にして、二世帯が繋がりながらも適当な距離感を共有することを計画の軸としました。

玄関土間は、なるべく母屋の面影を残したいという息子さんの意向から、小割になっていた部屋の天井を残しながら、新しく計画したご両親の玄関まで繋げる様にしています。結果、この住宅の歴史を断面的に横断する様な不思議な空間が生まれました。

玄関土間には縁台を用意し、リビングに変わった和室に直接アクセスできる様にして、本来既存の住宅が持っているフレキシビリティを継承しています。

北側のプライベートスペースは構造補強も相まって、大壁の表現とし白い抽象的な空間へと変換しました。ダイニングキッチンや西側の寝室、子供部屋の天井は小屋裏まで現しにして、この家の屋根の気積を感じれる様にしました。

新旧の空間が絡み合い、交差し、時には対峙する様相は、既存の建物の個性(特徴)を際立たせます。

このリノベーションは、単なる復元ではなく、かと言って新築では実現できない新しい空間を勝ち得ました。

彼らの新しい生活を支え、次の世代へと継承できればと思います。

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