多摩川の二世帯住宅 〜緩やかに繋げ、緩やかに仕切る〜
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企 画:ザ・ハウス
設計担当:納谷学、相田宗徳
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:渡邊建設 小林
家具製作:Yクラフト 吉田靖彦
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構造形式:1階RC造、2・3階鉄骨造
竣工年月:2006年2月
PHOTO :吉田誠
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敷地面積 :130.77m²(39.55坪)
延床面積 : 220.27m²(66.81坪)
1階面積 : 55.54m²(16.80坪)
2階面積 : 79.66m²(24.09坪)
3階面積 : 79.66m²(24.09坪)
ペントハウス面積 : 5.41m²(1.63坪)
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受賞歴:2008年DAIKIN×JDN×LiVES エアスタイルコンテスト 特別賞
掲載誌:『新建築 2006.08号』
『建築知識』
『最高にステキな[間取り]の図鑑』
WEB :ALL ABOUT
多摩川沿いの台形の変形敷地に計画した二世帯住宅です。
1階は、多摩川の氾濫対策を兼ねて鉄筋コンクリート造とし、通常の住宅より少し階高が大きくして、事業のための倉庫と駐車スペースにしています。2・3階は、構造体を小さくプランが自由にできる鉄骨造として、2階を親世帯、3階を子世帯にしました。
台形の変形した土地を有効に使う為、外壁面に構造体を配し、内部空間が自由に間仕切れるようして、建具のない連続した空間で、家族のそれぞれの居場所を緩やかに繋げ、緩やかに仕切ることを提案しました。ともに床と天井を同じフローリング材を貼り、空間が連続している様をデザインに活かしています。
また、一階の玄関から屋上まで螺旋階段一本で繋ぎ、多摩川の土手からひとつ飛び出したペントハウスにして、多摩川を遠くまで望め、家族で花火大会を楽しめるようにしました。
『新建築 2006年08月号』のTEXTより抜粋
「多摩川の2世帯住宅」 — 重なる住宅 —
多摩川にほど近い敷地に2世帯の住宅が完成した。最初の依頼は、3世帯住宅、親世帯と息子世帯、そして娘さんが一緒に住むという条件。子世帯はみんな独立しているから、玄関アプローチだけ共有したいとのことだった。
我々は、2・3階部を住居スペースとして、そこでのプランの自由度を模索した。縦方向に住宅を重ねるということは、設備や構造にプランが影響されやすい。「新井の集合住宅」では、それを回避するため立面上で住戸タイプを決定し、パズルのようにランダムに配置することで単調なプランの積み重ねを避けた。しかしここでは、平面による自由なプランを確立させたい。なぜならこの住宅は近い将来、家族数あるいは世帯数に変化がある可能性があると考えたからだ。
そこで、構造体を外壁側に追い出し、中のプランが自由になるようにした。構造の大前提ができたところで、いびつな敷地を有効に利用するため、水周りやテラスを最小限の大きさにコントロールしながら外側からそのいびつな四角形をえぐり取るように配置した。水周りの配置は使い勝手を考慮しながら適当な距離を保たせ、残された空間が流動的に自由に連続するようにコーナーをラウンドさせている。そして残された流動的な空間に、キッチンやリビング、プライベートスペースなどを割り当てている。それぞれのスペースは連続しているが、直接的な関係にはなく、ただ隣り合わせたにすぎない。そして次の隣り合わせたスペースへと連続していく。ラウンドしているコーナーは次ヘのスペースを予感させ、限り無く奥へ続くようでもある。
結局、計画途中で娘さんが家を出ることになり、親世帯と息子世帯の2世帯住宅になったが、プランの自由度と流動性は変わらない。2層に分けられた世帯だが、立面上にあらわれたスリット状の開口部の上下のズレが内部のプランの自由度を立証してくれている。家族が一緒に住むということは必ずしも共通のスペースを共有しない。それは、現代における家族のあり方としての、あるいは個人が社会に開放されている証なのかもしれない。
ところでこの計画は、家族の世帯数だけに左右される計画なのだろうか。この重層住宅は4層にも5層にも自由な平面を持ちながら展開する可能性を持つ。重なる住戸は、緩やかな階段スペースを共有しながら少しブレ、曖昧な繋ぎの中で家族という枠を越えて存在しえるのである。つまり、家族という枠組みとは関係なく、この計画は単に集合して住むということに他ならない。
『建築知識』のTEXTより抜粋
内装材 〜フローリング〜
敷地形状がいびつなことから生まれたこの住宅は、建具や壁で仕切られていない自由な平面を持つ。2階は親世帯、3階は子世帯、それぞれの世帯と敷地環境を読み込み、断熱性のある桐を2階に、遮音性の高いインディアンローレルを3階に使うことにした。