富ヶ谷の集合住宅 ルセリア 〜26世帯の立体街区〜

作品情報
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富ヶ谷の集合住宅 ルセリア 渋谷区富ヶ谷
  • 設計担当:納谷学、木村芳行、名倉幸雄

    構造設計:かい構造設計 寺門規男

    施工会社:清水建設

    お問合せ:リネア建築企画

     

    PHOTO:新良太

  • 階  数:地下1階、地上4階

    世帯数 :26世帯

    駐車台数:16台

    構造形式:RCラーメン構造

    竣工年月:2001年6月

  • 敷地面積:718.97m² (217.87坪)

    延床面積:1359.40m² (411.94坪)

    地下1階面積:000.00m² (00.00坪)

    1階面積:000.00m² (00.00坪)

    2階面積:000.00m² (00.00坪)

    3階面積:000.00m² (00.00坪)

    4階面積:000.00m² (00.00坪)

  • 掲載誌:『建築家のデザイン集合住宅』

        『lives 2003年秋号』

        『建築マップ東京2』

        『CREA 2001.11号』

        『日経アーキテクチャー 2001.11.26号』

        『Esquire日本版 2002.02号』

        『こんな家に住みたい 2002.05号』

富ヶ谷の集合住宅 ルセリア 渋谷区富ヶ谷

渋谷区・富ヶ谷に計画した集合住宅です。構造はRCラーメン構造、地下1階地上4階です。

近くには渋谷や原宿、青山の街がひかえ、住人になるだろう人々の職種も世代も多様に渡っています。

一般的な賃貸集合住宅は、築年数と駅からの距離、面積、構造形式でほぼ家賃が決まっています。また、そうした集合住宅はデベロッパー主導で計画されますから、間口が狭く奥行きの長い住戸に整理され、同じ建物のほぼ全ての住戸が同じ面積と間取りになっています。

結果、賃貸者に選択の余地はなく、個性豊かな人たちが全く同じ間取りに行儀良く詰め込まれています。

それを変えたい。

「富ヶ谷の集合住宅」では、26世帯全ての住戸の間取りと面積を変え、一つ一つの住戸に個性を与え、賃貸者が同じ集合住宅の中でも好きなタイプの住戸を選べるようにしました。

大きさはワンルームから2LDKまで50㎡を中心に19㎡~110㎡まで、間取りはフラットタイプはもちろん、メゾネットタイプをクロスさせたり、大きな吹抜けを内包しているタイプなどを織り混ぜ、さまざまな人たちが住めるようにしました。子供から老人まで、建築全体が一つの街が縦に積み上がった立体街区のように展開させました。そこには、世代や家族構成、職業を超えた小さい街の姿が立ち現れると考えました。

この集合住宅は、前面ファサードの木製ルーバーが印象的ですが、その計画の本質はプラニングにあります。それぞれの住戸は、そのオリエンテーションと周りの環境、住戸間のプライバシーに留意しながら、できるだけ明るく開放的な住戸を形成しています。ファサードの木製ルーバーもその装置としての仕掛けに過ぎません。道路側からの視線を遮り、ルーバーの内側を白く塗装し住戸内部に柔らかい光を導きます。

こうした装置を備えた様々なタイプの住戸帯の集合は、富ヶ谷という街の環境と多様に変化する住み手を受け入れながら共生していくと考えました。

竣工して数年が経ち、違うタイプの住戸に引越ししたり、同じ人がオフィスと住宅用に2住戸借りたり、あるいは手狭になった人が建物内で大きい住戸に引越しをするという設計当時に予想してなかったことが起こっています。

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